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人生100年時代_資産活用と相続対策を学ぶ

人生100年時代のライフプラン

ハッピーを感じる100年人生のために

ライフプランは、「生きがい」「健康」「資産」という3つの観点から考えましょう。 未利用地や広すぎる自宅、認知症や相続問題など、「経済」面における危険要因はありませんか。
100歳超えの人生がめずらしくなくなった日本、高齢でも現役の方、リタイア後も積極的に人生を楽しむ方々が増えています。 ハッピーを感じる人生のためには、年齢を重ねても、もし介護が必要になっても、健康かつ積極的に人生を楽しむための、計画と工夫が必要です。 人生を楽しむことは、元気の維持に繋がり、それがご家族の介護の負担軽減にも繋がります。
心身の機能が低下しても、したいこと、続けたいことはありますか?
毎年の旅行・季節の行事・毎月毎週の楽しみは?
お仕事は生涯現役・半分現役・引退?
お住まいは終生ご自宅・施設・御自宅と施設の中間?
最初に制度設計を誤ったり、対策をしないでいると、ハッピー感のある人生はやってきません。
「こんなはずではなかった」状態からの修正が難しくなる場合もあります。
さあ、1世紀を超えるハッピーエンドな人生に向けて、活用できる制度を知り、しっかりとした制度設計をいたしましょう。

しかし、そのために何の対策もしないと?

素晴らしい資産を形成し、薔薇色の人生100年のはずなのに・・・
1 引退を検討する日々
2 引退後の、悠々自適の日々
3 身体の衰えを実感する日々
4 判断能力の低下を実感する日々
5 支援・介護があれば、自宅で生活できる状態での日々 
  この段階で踏みとどまるか、心身の衰えを加速させるかの大きな分かれ目となります。
  ホテルのような豪華さに引かれた、早すぎる老人ホームへの入所が招く悲劇もあります。
6 ここから心身の衰えが急激に進行するケース
 ⑴ 老人ホームに入所したが故に、心身が急に衰える
 ⑵ 介護が必要なのに放置され、生活が乱れて衰える
 ⑶ 自宅介護・支援が不適切・不十分で、心身が急に衰える
7 高齢の方に不測の事態
 ⑴ 寿命を大幅に縮める不測の事態
 ⑵ ご家族の介護疲れの末の不測の事態
 ⑶ 子らが、ご高齢の親等を粗末に扱う事態
 ⑷ ご高齢の方が詐欺の被害に遭うリスク
  この段階では、ご高齢の方の「意思能力」(考える力)は、なくなっているか、
  ボーダーライン上にあるかの何れかの事例が多いと言えます。
8 資産の活用・相続の面でも不都合な事態が発生

人生100年時代の、安心するための法律上の手段

1 財産管理契約〔公正証書〕
⑴ 財産管理契約とは、
病気になったり、体力が衰えた場合に備えて、家族・親類・友人などの中から、信頼できる人を選び、⑴生活・療養看護、⑵財産管理を委任する制度です。 ライフプランと資産の両面をサポートする制度です。
受任者(財産管理を頼まれる人)に税理士・行政書士・弁護士等の専門家を加え、親族と複数名体制にすることも可能です。
但し、後述するように、
生活・療養看護については、
① 行事や旅行等自分の理想とする幸せな「生活」、
② 心身の衰えをできる限り防ぐ住まいを含めた「療養看護」、
財産管理については、
リスクを最小限にして資産を最大限に活用する「財産管理」を実現するために、 契約条項を具体的に練ることが大切です。 財産管理契約は、委任者の判断能力が不十分になり、家庭裁判所で任意後見監督人が選任された時点で終了し、任意後見契約にバトンタッチします。
⑵ 財産管理契約の具体例
財産管理契約の多くは、任意後見契約(後述)とセットで締結されます。
任意後見契約 別紙 代理権目録(委任契約)(pdf)

2 任意後見契約〔公正証書〕
⑴ 任意後見契約とは、
将来、認知症などにより判断能力が不十分になる可能性に備えて、予め(判断能力が十分な時点で)、家族・親類・友人などの中から信頼できる人を任意後見人に選任しておき、⑴生活・療養看護、⑵財産管理を委任する制度です。ライフプランと資産運用の両面をサポートします。
判断能力が十分な時点で契約を締結し、判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所に申立を行い「任意後見人を監督する人」(任意後見監督人)を選任して貰います。その時点で、任意後見の効力がスタートします。
但し、介護されるだけの人生にならないためには、ご本人の幸せと生きがいのために任意後見人が何をするべきか、その指針や詳細を、任意後見契約書(公正証書)に具体化することが大切です。
⑵ 任意後見契約の具体例(pdf)〔公正証書の記載例の一部〕

3 遺言書作成〔極力公正証書で〕
⑴ 遺言とは、
① 遺言には、自筆証書遺言や公正証書遺言、緊急時の遺言等がありますが、可能な限り、公正証書遺言を選択するのが安全です。
② 遺言は、公正証書遺言を利用したとしても、その手続や条項の組み立ては比較的簡便(特に民事信託と比較して相当簡便)です。
⑵ 遺言の際のアドバイス
遺言をする際、まず、
① 御自身のどの財産を誰にどのように活用して貰うのが幸せなのか、
つまり、資産を受け継ぐ人たちにどのような夢を託し、その財産をもってどのような生き方をして貰いたいのか、メッセージを送り、資産に「想い」を添えることが大切であると考えます。
② また、感謝を表す上でも、揉めない相続のためにも、高齢になった御自身の介護や「生きがい」のために「誰がどのように尽力してくれているのか」、親族の人間関係をも考慮し、遺言内容を熟慮することが大切です。
③ その上で、弁護士や税理士など、各専門家に相談をし、遺留分や税法上の利害得失を検討します。

4 民事信託契約〔公正証書〕
⑴ 民事信託(家族信託)とは
ご高齢の対策、相続・事業承継対策をする方に即して概略を説明すれば、「民事信託」とは、
① 委託者が、受託者との、契約や遺言等(信託行為)により、
② 「ご高齢対策や相続・事業承継(生前の資産の管理運用、生前贈与等生前の資産の承継、相続後の資産の承継や運用管理、更には二次相続後の資産の承継や運用管理)」等々の信託目的で、
不動産所有権や株式等の財産(信託財産)を受託者に移転し、
③ 受託者に、これらの財産を管理・処分して、「資産家・経営者ご自身やその相続人や二次相続人や親族以外の方(受益者)」の利益(受益権)を図る義務を負わせる、という制度です。
⑵ 民事信託を使う実益
① 民事信託は、ご高齢の方御自身、親族やお世話になった方々が、安心してハッピーに生きることができるよう、将来にわたり、その財産を活用することができる便利な制度です。
② 遺言や生前贈与では、財産を取得した方が財産を浪費・散財することを防ぐことは困難ですが、信託は、相続人の浪費・散財を防ぐこともできます。
③ 民事信託は、遺言とは異なり、子の世代のみならず孫の世代まで、
あるいは、ご高齢の方に親族がいない場合にも、将来にわたり、誰のためにどのように「財産」を活用すべきかを自由に設計することができます。
④ 法定後見制度は、財産管理のあり方が厳格に法定されており、任意後見制度も監督のあり方が法定されておりますが、民事信託は、財産管理のあり方や監督の仕組みを、実情に合わせ自由に設計することができます。
⑶ 民事信託契約の具体例①(受益者連続信託)(pdf)
⑷ 民事信託契約の具体例②(建物建築のための信託)(pdf)
説明のためのシンプルな例です。 信託とはいえ、白紙委任で建物建築を依頼することは危険です。
建築トラブルで訴訟になることのないよう、十二分に信頼に値する建築会社や競争力のある工法を限定しておくことが肝要です。

〔参考条文〕(国税庁ホームページ参照)
【措置法第69条の4((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))関係】
信託財産に宅地等が含まれる信託に関する権利についても、措法第69条の4第1項に規定する小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「小規模宅地等の特例」という。)の適用対象となることが明らかにされた。  

5 養子縁組
⑴ 判断能力
養子縁組をするのに必要な判断能力のハードルは、不動産売買契約等の取引行為をするに必要な判断能力に比して、若干低い傾向があります。
⑵ 養子をすることの税法上のメリット
① 相続税において基礎控除が1人分(600万円)増える、
② 相続税の累進課税の適用税率が低くなる、
③ 相続税の2割加算の適用除外、
「一親等の血族や配偶者以外の者」が相続や遺贈を受けた時には、相続税額2割加算されますが、「養子にすれば一親等の血族に」なります。
④ その他…生命保険金や死亡退職金の非課税枠の拡大
⑶ 養子縁組の落とし穴
① 離縁が容易ではない
「この人は信頼できる」と思って養子にしたところ、実は全く信頼に値しない人物であった場合であっても、相手が協議離縁に応じない場合、裁判上の離縁は、そう簡単には認められません。
もし、人選を誤り、間違って養子にした場合は、お早めに専門家に御相談を。できれば養子縁組をする前に相談されることをお勧めします。
② 娘婿を養子にしたところ離婚した。
⑷ 養子の縁組の際の重要ポイント
節税ありきではリスクがあります。
まず、「生きがい」からライフプランを検討し、その中で「この人と親子として幸せに暮らしたい」と確信できる人であるかどうか、慎重に見極めることが重要です。     

6 法定後見申立〔裁判所の審判〕
⑴ 法定後見とは
法定後見制度(成年後見、保佐、補助)は、(任意後見契約をしないまま)既に判断能力が不十分になっている場合に、⑴ 生活・療養看護、⑵財産管理を図る制度です。
⑵ 法定後見を用いる場合の留意点
① 法定後見(特に成年後見人)は、財産の管理処分に法律上厳重な制限がある制度であり、その意味で、財産保全の安心さに優れています。
② あくまでも「ご本人の意思に沿って」適用されることが重要です。

ところが、ここまでしても介護されるだけのリスクが!

1 介護や財産管理自体は、人生を幸せに過ごす手段です。
2 介護・財産管理されるだけの人生となる原因は
 ⑴ 財産管理の委任契約・任意後見の条項に問題点がある
 ⑵ 民事信託の条項に問題点がある
3 「人生100年、幸せのライフプラン」を公正証書等に明記
  任意後見や信託の公正証書に「本人の幸せ」のために何をすべきかが明記されていないと、
  違う解釈により違う結果になる危険があります。
4 任意後見人や受託者の人選ミス
5 補助者を含めて人手が少なすぎる場合
  特定の方に介護の負担が集中し、「生きがい」どころではなくなるケースがあります。

100年の人生を見据えた「生き方」「住まい方」「ライフプラン」

1 「生きがい・やりたいことリスト」の作成からはじめましょう。
〜かけがえのない人生を積極的に楽しむために〜

高齢になっても、病気になっても、一日一日がかけがえのない貴重な時間です。人生100年を愛し、楽しむには、心身の状況に応じてなし得る「生きがい・やりたいこと」をリストアップすることが有益です。
⑴ 仕事・職業について
 ① 不動産以外の会社の役員や社員を退職するかどうか。
 ② 不動産保有会社管理等、会社の役員や従業員を続けるかどうか。
 ③ 御自身の資産運用〔建築を含む〕のお仕事を続けるかどうか。
 ④ 主婦業を続けるかどうか。
 ⑤ 「仕事・職業」から完全に引退するかどうか。
 ⑥ 家族みんなのために安全で快適なマンションを建てることも、もちろん、「素晴らしいお仕事」です。
⑵ ボランティアや公益的な仕事〔定期的〕
 ① 自治会の役員等
 ② 青色申告会等の役員等
 ③ ボランティア団体の役員や職員等
⑶ 本格的に学ぶことについて〔定期的〕
 ① 語学(英語や英語以外の語学)を学ぶ
 ② 放送大学等を利用する
 ③ 学士入学、大学院等〔心機一転専門外の分野でも〕
⑷ 趣味・余暇について
身体を使う趣味・余暇
 ① 山のぼり、ハイキング等〔不定期〕
 ② テニス・ゴルフ・ヨット・ボート等〔不定期・定期的〕
身体をあまり使わない趣味・余暇
 ① 教室に通い陶芸や絵画等の習い事をする〔定期的〕
 ② 発表会のある合唱や楽器等の音楽〔定期的〕
 ③ 自宅で楽器や編み物やガラス細工をする〔不定期〕
⑸ 友人・知人・親族との交流(会食)
 ① 不定期の交流(観劇、会食等)
 ② 定期的な交流(年中行事など)
⑹ 旅行や遊びについて
 不定期の旅行・レジャー(バレエ鑑賞、音楽会、歌舞伎見学など)
 定期的な旅行・レジャー(年1回のハワイ旅行、桜・紅葉の季節の京都旅など)
概ね恒例・慣例になっている、もしくは、恒例にしたい遊び・旅行
「困難」があるほど定期的に楽しむ工夫をしましょう。     

2 人生100年の拠点としての「住まい」について
~自由と安心を両立させる自宅の重要性について~

⑴ 従来は、自宅か老人ホームかの二者択一
 ① 心身が衰えても「従来型自宅」に1人(2人)暮らし
 ② それ程必要がないのに「老人ホーム」に入居
⑵ 「自宅・施設の二者択一」の重大な弊害について
 ① 自宅:家族が遠方、自室にこもりがちに、不測の事態も。
 ② 老人ホーム:規制が多く入院に近い生活をすると急激に衰える場合も。
⑶ 人生100年の幸せのために理想的な住まい
 ① 心身とも不安がない間は従来のご自宅〔自由〕
 ② 心身の衰えが気になってきた段階でバリアフリー型住宅〔自由〕
  ・任意後見や信託・在宅介護・家政婦さん等の補助者を併用します。
 ③ 老人ホーム入居〔密室・規則多い〕はできるだけ短い期間に
  ・任意後見や信託・信頼の実績のある家政婦さん等を併用します。
 ④ 入居した老人ホームが今ひとつなら躊躇なく変更します
  ・老人ホームの選定・変更は(任意)後見人の重要な仕事です。
  ・体制を立て直しバリアフリー型住宅に戻る選択も。
※ 老人ホームは、解約に支障がない施設を選択しましょう。

3 人生100年「楽しむための介護」について
~介護は目的ではなく手段、要介護状態の時こそ人生を積極的に楽しむ仕組みづくりを~

⑴ 介護は、それ自体が目的でも必然でもなく、
心身が弱った時に用いる「幸せに生活するための手段」の一つに過ぎません。
⑵ 「生きがい・やりたいことリスト」を活用
① 生きがい・やりたいことリストから、 「今の要介護状態でできること」をリストアップします。
② 「できること」のうち定期的なものはそのまま続けます。
③ 勿論その時々、新たな生きがいを見つけることもあるでしょう!
⑶ 「生きがい・やりたいこと」を公正証書に組み込む
① 任意後見公正証書や信託の公正証書に、 委託者が欲する「生活・療養看護」の内容、生きがい・
やりたいこと、少なくとも「せめてこれだけは」という特に重要なものを明記します。
② 任意後見人や受託者に対し、それを指針とするよう公正証書に明記します。
⑷ 「生きがい」も含めお世話を依頼する人手を整えます。
① 特定の親族1名に介護の負担が集中すると潰れてしまいます。
② 親族以外の家政婦さん・介護福祉士・会社の従業員・孫等、生きがい・やりたいことを実現する補助者を
   定期的に依頼します。
③ 自家用車の構造・介護タクシー・運転手等、要介護状態の下での移動手段の調査・工夫は非常に重要です。
④ 複数の補助者の役割分担を調整するためにも、いわば司令塔として、 それに適した「任意後見人や信託受
   託者」を選任することが重要です。
※ 任意後見人は、介護や本人の幸せな生活を実現する作戦を練り契約をする者であり、介護やお世話自体をする
 者ではありません。
⑸ 任意後見人の職務上の注意点・落とし穴
① 任意後見人の職務は、最善の「生活・療養看護」・「財産管理」の実現です。
② 生活とは、もちろん、「生きがい」を実現する幸せな生活ですから、 それを実現する「生きがいリスト」
   が有用となります。
③ 任意後見人の職務の「財産管理」には、財産の凍結だけではなく、御本人の生きがいに必要な費用を支
   出することも含まれます。
④ 公正証書に生きがい・やりたいことが明記されていないと、生きがいに必要な支出か否かも判然とせず、
   ご本人がしたいことが出来なくなる事態も生じ得ます。
⑤ 事細かな記載が困難な場合でも、定期的なもの、恒例になっているもの、特に重要な生きがいだけでも、
   公正証書に記載されていれば、任意後見人や信託の受託者は、ずいぶん助かるはずです。
⑹ バリアフリー型在宅介護と施設の役割分担
自由と安心を両立させる自宅の活用
① バリアフリー型自宅の重要性=自由と安心の両立が可能です。
・バリアフリーでない場合、介護する方の負担が増え、身体に支障が生じることもあります。
・見守り等への不安があると、必要が乏しいのに施設に入所する事態も生じます。
② 自由と安心を両立させる自宅の活用
自由と安心の自宅を活用すれば、老人介護施設に入居する必要がなくなる場合もあり、施設入居時期を遅ら
   せ、施設から自宅への逆ショートステイや引っ越しが可能な場合も出てきます。
目標はずっと自由・気ままなご自宅(施設に入らず)
① 施設は、外出するにも許可が必要であり、食事時間、入浴の回数等、細かに規則が定められています。
   許可を得て外出しても、門限がある施設もあります。
② 自由と安心が両立できる自宅があり、一生涯施設に入らず、自宅で自由気ままに過ごすことができるなら
   ば、何よりです。
③ その上で、介護保険の訪問介護を活用しましょう。
④ そして、必要があれば、任意後見や民事信託を活用し、また、常時親身に世話をしてくれる親族や親しい
   知人の方を選びましょう。
介護・生きがいの補助者の人手を確保する工夫が大切
① ただ、特定の方に介護の負担が集中するとその方が潰れてしまします。
② そこで、週1日でも週数日でも、自分の「生きがい・やりたいこと」のための補助者を依頼するなど、平素
   の介護者との役割分担を工夫することが大切です。
バリアフリー型自宅+ショートステイ
① 自宅で介護する方にも、休息やリフレッシュは必要です。
② 介護度によって、バリアフリー型自宅+ショートステイを組み合わせましょう。
施設に入所する場合の要注意ポイント
① 弁護士に依頼して約款・入居契約書・入居条件を吟味、
② 入所前に任意後見人等を選任して監督の体制を作り、
③ 入所する施設を厳選します。
④ その上で、「施設とは無関係な専属の家政婦等」に引き続き依頼をします。生きがいと幸せ・健康を実現す
   るための信頼できる自分専用の補助者は、「施設では一層必要」であると考えます。
⑤ 入所する施設が今ひとつなら、躊躇なく変更します。
施設からバリアフリー型自宅に戻る選択肢の検討
「おうちに帰りたい」という両親や祖父母の願いがあった場合、
① バリアフリー型自宅に逆ショートステイするという方法や、
② 介護の人手と体制を立て直して施設から自宅に戻る方法を真摯に検討します。
※ 逆ショートステイを阻む最大の要因は、階段、段差、歩行器が使用できないなどの「自宅の構造」です。
⑺ 介護の盲点 質と量が十分で美味しい食事を
① 食材の購入に便利な、ご本人が調理できる住居が好ましい
② 宅配の弁当等を依頼する場合は、品質と味にご注意
③ 老人ホームの食事に、差し入れや外食の工夫を
④ 食事についても良き補助者が必要

4 人生100年、楽しむための「健康」について
⑴ 衰弱スパイラルに注意
自室(施設・自宅)に隠りがち → 食事(質・量・味)が今ひとつ → 筋力が衰え → 更に食が細くなり →
益々外出せず → 更に筋力が衰え → 更に食が細くなり → 筋力も気力も衰え病弱に → 短期間に衰弱を重ね
寝たきりに近い状態に。
⑵ 定期的な健診・主治医の意見も重要です。
⑶ 定期的なリハビリで筋力を強化することも重要です。
⑷ 食事・介護のあり方は健康に直結します。
⑸ 人生を楽しむことが健康に直結
人生を楽しむことは、健康(体力・判断力)の維持に大変効果があり、それがご家族の介護の負担軽減にも繋がります。①仕事、②学び、③趣味、④交流、⑤遊び等の生きがいは、 何れも、体力又は判断力、あるいはその両方を使います。 住まいでは、バリアフリー、交通や買い物の便よさ、自由と見守りの両立等で、生きがい実現と安心を両立させる工夫をしましょう。

5 認知症になった場合の経済面の危険要因とライフプラン
⑴ まずは、財産の保全をしっかり!
・ビル一棟だまし取られた事例もあります。老人ホームにまで巧妙に詐欺の電話が掛かってくることもあります。
・状況に応じ財産管理人・任意後見人・民事信託を活用します。
・権利証や通帳等をしっかり保管、不動産に信託の登記をします。
⑵ 意思無能力の状態でした売買等の契約等は瓦解します。
~意思無能力状態では御本人の資産の処分は困難に~
意思能力とは、自己の行為の結果を弁識する精神能力をいいます。自分がこの契約をしたら(例えば自宅を売ったら)、どのような結果が生じるか(引っ越しをしなければならないこと等)を認識できる能力です。
意思能力が無い者がした法律行為(売買契約や贈与契約、養子縁組、遺言等)は、無効になり、せっかく準備した相続対策・事業承継の仕組みが無効とされる危険もあります。
そこで、「意思能力があるという証拠の保全」が重要となります。
⑶ 但し、認知症=判断能力なしとは限りません
例えば、病院で「アルツハイマー型認知症」と診断されても、必ずしも契約や遺言をするのに必要な判断能力(意思能力)がないとは、限りません(症状が軽い場合)。
⑷ 素人的判断は禁物専門家に御相談を
① 認知症の専門医を複数受診して「意思能力」の有無の正確な判定
② 法律上最適な対処の選択(信託、任意後見、養子、法定後見等)
③ 特に会社役員の方が認知症になった場合にはすぐ専門家に御相談を
⑸ 但し、認知症対策は目的ではなく手段に過ぎません
① 認知症になっても今がハッピーか否かは分かります。
② 認知症対策は、信託、任意後見、養子、法定後見を含め、それ自体が目的ではなく、認知症という病気に
   罹患した場合に用いる「幸せに生活するための手段」の一つに過ぎません。
⑹ 認知症の時こそ「生きがい・やりたいことリスト」の活用を
① 認知症対策の目的は、信託、任意後見、養子、法定後見等を用いて、医師とも相談しつつ、認知症の進行
   程度に応じ、ご本人の幸せを実現すること。
② 後見人や信託の受託者になった場合、御本人が事前に作成した「生きがい・やりたいことリスト」の中から
   記憶力や判断力が低下しても楽しめるもの、従来から、定期的に、恒例としてなされていたものを指針とし
   て、ご本人の幸せを実現します。
③ 既に認知症になっており、「生きがい・やりたいこと」がメモされていない場合には、ご本人の好みや過去
   の生きがい等を調査し、「御本人の希望や生きがい」をリスト化します。
⑺ ご本人がご病気であることを理解しつつ
① 認知症は、記憶力又は判断能力又は双方が衰える一つのご病気です。
② ご本人がご病気であることを暖かく理解しつつ、治療の面でも、ご本人のライフプランの面でも、お世話を
   させて頂く側が、できるだけ明るく元気に根気よく、対応することが重要であると考えます。
⑻ 特定の方に認知症の方のお世話が集中しないように
認知症の方の介護・生きがいを実現するための補助者の人選(カウンセラーを含みます)、人手の確保は、認知症の場合には一層大切です。

資産という観点から

1 人生100年時代の資産の有効活用
⑴ 100年人生には、お金が必要です。
習い事、旅行、交流等々、人生100年を積極的に楽しむには、お金が必要です。また、相続税の支払いは、
原則としてお金でします。
⑵ 今のうちに、利益(現金)を生み出さない不動産を、利益(現金)を生み出す不動産に組み替えます。
① 利益を生み出さない不動産:更地、老朽化した賃貸住宅等
② 利益生み出す不動産:安全な立地、駅近、「競争力ある物件」
③ 事業採算制:30年後、50年後も採算が取れているか。
⑶ 人口減・高齢化社会で勝ち抜く「競争力ある物件」とは
① 耐用年限60年は非常に重要!
② 頑丈であり劣化し難い(≒長期間比較的真新しい状態)
③ 立地がよい(災害に強い、駅に近い、将来に向け一定の人口)
④ 災害(地震・火災)に強いことを入居者にアピールできること
⑤ 将来60年間の補修のコストが概ね確定していること(不確定では将来の利益が確定しません)
⑥ ①から④(収益予測)と⑤(費用の予測)を比較します。
⑷ 人口減・高齢化社会、「量」より「質」が一層重要です!
① 競争力のない30室のマンションを2棟持つよりは、 競争力のある25室のマンションを一棟持つこと
② 競争力のない30室のアパートを1棟建てるよりは、 競争力のある20室のマンション1棟を建てること
※ 競争力のない大きな物件は、将来、大きな損失に繋がります!
③ 駅から遠い3つの物件を処分して、 駅から近い土地一つを「できる限り有効に」活用します。

2 相続・事業承継という観点から
⑴ 承継させる財産の吟味と資産の組み替え
① 競争力のないアパートマンションビルを相続した方の苦難とは:
競争力なし、修補費用が高く、修補せずに建物劣化し、空室が増える
② 老朽化した賃貸住宅・敷地を相続すると損失に直結:
空室多く低収入、高額な修補費用、しかも相続税の評価額は上がる
③ 次の世代に向かって儲からない不動産を残さないことが重要です。
④ 相続の前に、利益を生まない事業採算性の乏しい物件を、利益を生み出す事業採算性の高い物件に
   組み替えます。
⑵ 誰に財産を承継させるかの吟味
・子や孫その他、誰にどのような夢を託したいか、
・人生100年誰にどの程度お世話になるのか、(これを軽視すると揉める相続の原因に)
・自分の資産(不動産、会社)を有効活用できる人は誰か、
を吟味します。
⑶ 承継させる手段(遺言と民事信託等)の選択の判断
・耐用年限の短い建物や評価額の小さい物件なら遺言でも大丈夫なケースが比較的多いと考えられます。
・耐用年限が長い建物と敷地・会社の株式(会社の支配株式)の承継(生前の承継、死亡後の承継)には、
  民事信託が適する場合があります。
・但し、相続は十人十色ケースバイケースです。専門家に相談して、適する手段を選択する必要があります。

3 節税はライフプラン・事業採算制・相続の方針を検討した後に
⑴ 確かに、更地に建物を建てる、物件を法人所有にする、養子縁組、小規模宅地の特例、地積規模の大きな宅地
  (新広大地)等、税法上の扱いや特例と無関係に、相続や事業承継を考えることはできません。
⑵ ただ、節税から出発してライフプラン(生きがい)を無視し、事業採算性を無視して闇雲に競争力のない物件
  を取得し、身の丈に合ってない大きな会社を設立すると、将来、御自身や相続人の方が、大きな犠牲を払うリ
  スクが生じます。
⑶ そこで、節税は、まず、
①ライフプランと②資産の事業採算性を検討し、一呼吸置いて次に、
  ③節税の検討、④節税の検討を経て、①②のライフプランと資産活用の調整・再検討、
という順番に検討するのが無難であると考えます。

改正法を踏まえた相続・資産活用における注意点

ベストの事業者が建築した建物を売買する必要
例えば、1億円2億円の賃貸マンションを建築した場合、将来の相続・事業承継の都合により、賃貸マンション(特定物)を他に売却しなければならなくなります。
この時、改正法によれば、賃貸マンションや住宅の売主は、目的物に欠陥(契約で約束した品質に適合しない部分)がある場合、原則として、修補義務を負っており、修補費用・修補に代わる損害賠償金は、場合により、相当高額になる場合があります。
旧法では、建物(特定物)の売主は、特約なき限り修補義務を負わず、瑕疵がないことを想定した代金額と瑕疵がある価格の差額を賠償すれば足りるとされていることと比して、新法では大幅に売主の責任が厳格になっているのです。
他方、かかる売主の厳格な義務を免除する特約を付すこともできますが、その場合、建物の売却価格は安くならざるを得ません。
そこで、改正民法により特定物売主の責任が厳格化されたことに鑑み、賃貸マンションや住宅を建築する場合、将来同マンションを売却する可能性も想定し、できる限り修補の必要性が少なく、修補のアフターフォローも万全な、ベストの事業者に建築を依頼する必要性が高まったと言えます。