耐用年限30年と60年の大きな違い
耐用年限30年ではローン返済後間もなく建物を解体することになりますが、耐用年限60年では、2世代に亘り、老後の安心と幸せを確保することができます。
耐用年限が60年のマンションは、大きな景気変動に耐え力も強力です。例えば平成元年完成の耐用年限60年のマンションは、バブル崩壊とリーマンショックの後再び不動産価格が上昇した平成30年時点で、残存耐用年限がまだ30年もあるのです。見落としがちな耐用年限とは、お金を生み出してくれる期間のことでもあります。長期的収益を視野に入れて比較検討することは大切です。
多くの建物オーナーが苦しむのが建物の「修補の負担」です。
マンションやビルを建築あるいは相続された場合、予想外に修補の手間、費用、資金繰り等の負担に苦しむ方は、少なくありません。
このような修補の負担を避ける根本的方法は、
マンションの建設に先立って、できるだけ「将来の修補が少ない建材と工法を選ふ」とともに「将来の修補の計画と予算が概ね確定していること」が非常に重要です。
世の中には、耐用年限や品質、修補の費用を考慮せず、見かけ上の建築価格のみを比較し、その結果、大変高い買い物になってしまった方が少なくありません。
これを避けるには、最低限、
① 建築時の費用のみならず、
② 耐用年限1年当たりの建築価格、
③ 品質(競争力・空室リスクの有無程度)、
④ 将来想定される建物の修補の金額、
⑤ 建物の維持管理にかかる費用、
を総合的に考慮して、判断する必要があります。
例えば、耐用年限30年と耐用年限60年の建物の価格を比較した場合、
耐用年限30年のマンションを2回建てるのと耐用年限60年のマンションを1棟建てるのでは、後者が圧倒的に安価となるのです。
立地は、空室率に影響します。 所有地が駅から遠いか、都心から遠いか、高齢者の人口と若年人口の比率、地域の環境等を考慮し、必要があれば売買により土地を入れ替えてでも、今後増加する高齢の方を含めた入居者にとって、便利・安心・魅力的な立地を厳選することが重要です。
知人の紹介というだけで、信用度や工法材質の優劣を吟味せずにマンション建設を依頼し、お金を支払ったのにマンションが完成しない、もしくは、たくさんの欠陥や手抜き工事が判明した等のトラブルに見舞われる事例は、少なくありません。 しかし、素人が手抜き工事を監視することは不可能に近く、工務店に資力がなければ損害賠償は絵に描いた餅になります。 マンション建設は一生の一大事ですから、 定評のある会社を選び、万一欠陥が出ても賠償資力の心配もない大きな会社を選ぶことをお勧めします。
経験がないままに不動産の賃貸管理をするのはリスクと負担があり、その意味で一棟貸し(サブリース)は、安全です。
ただ、サブリースの計画が堅実でも、肝心の建物に競争力が乏しければ、サブリースは長続きしません。
マンション建設には、建物の競争力、サブリース計画の堅実さの双方を吟味して、臨まれることをお勧めします。
今般の民法改正で、情報提供義務や通知義務の新設されました。たとえば、保証人候補者は、保証人になって良いかどうかの見極めがしやすくなりましたし、保証人は、債権者への問い合わせにより主債務者の遅延損害金が膨らむ前に対策することができるようになりました。また、保証契約が無効になる場合も新設されています。
これらは、逆に言うと、債権者(不動産賃貸事例では賃貸人)が債権を回収するためのハードルがかなり高くなったことを意味します。
債権者は、勤勉に債権の管理や通知、対処をしていないと、債権の回収ができないおそれが高まりました。
そこで、保証に関しては、どの段階でどのような手続がいつまでに必要かを、保証契約を締結する前に確認、検討し、
マンションやアパート等、何人もの賃借人がいる賃貸物件の賃貸経営については、保証人に関する対処も含めて信頼できる事業者にマンションの管理を委託するか、信頼できる事業者に一棟貸し(サブリース)をすることをお勧めします。
報道によれば、今後60年間での、震度6や震度7の巨大地震が発生する確率は相当なものがあります。
強力な耐震性に加え、強力な耐火性も必要です。大震災の後、建物は倒壊しなかったものの、周囲からの類焼により、焼失する事例が非常に多かったようです。仮に震度7で倒壊しなかったとしても、焼失してしまえば意味がないのです。
多くの入居者の生命や身体の安全に直結する以上、マンション建設の際には、なにがしかの耐震性・耐火性ではなく、「最高レベルの耐震性と耐火性」を重視することをお勧めします。
それが、マンションのアピールポイントになり、競争力を高め、空室対策にもなるのです。
強力な耐震性と強力な耐火性は車の両輪です。
億単位何千万単位の賃貸用マンションや住居の建築請負契約書に印鑑を押した後、その品質(例えば耐久性や耐火性・耐震性、防音性)が今ひとつであることが報道等により発覚したとしても、錯誤や動機の錯誤による取消には、上述の要件がありますので、建築請負契約の錯誤取消を主張するのは、簡単なことではありません。
そこで、改正の前後を問わず、このような事態を避けるために最も確実な方法は、材質、工法等、自分がここは譲れないという条件について、ベストの事業者を選択するべきです。1番の選択をすれば、もっと良い品質の建物があったのに、という事態は避けられます。